デザイナーに訊くアイデア発想方法:後編
前回記事「デザイナーに訊くアイデア発想方法:前編」の後編です。
アイデア発想方法の続きと、岡本さんがお勧めする「このアイデアがすごい」モノ、そして実際に今回のアイデア発想方法を実践したモノ、について教えていただきました。
デザイナー岡本さんのアイデア発想法まとめ
・アイデアは新たな要素の組合せにすぎない
・実はアイデアは5ステップで出せる
- アイデアを出すための材料集め
- 材料を組み合わせる
- あえて心の外に置く
- 常にその事を考える
- アイデアを具体化し形にする
3.あえて心の外に置く
簡単に言うと、休憩が必要という話で、
やっぱり、会議室とかで唸っていてもアイデアって出ないんですよ。
何かしらは出るんですけど、
もっといいアイデアが次のステップで出ることを僕は知っていて、そのためには、どうやら熟成期間が必要みたいなんです。
脳による無意識の創造
脳に色んな要素をインプットすると、無意識につながっているんですよね。
なので、この休憩で、脳を活性化する必要があるんです。
僕がこの期間によくしているのは、音楽を聴く、ナッツを食べる、軽いエクササイズ、瞑想、自然と触れる、などですね。自分の好きなことでいいです。
脳を活性化させるために脳内物質のドーパミン分泌を促します。
あとは、アミノ酸(チロシン)を取ると良いと言われています。
アーモンド、バナナ、コーヒー、チョコレート、肉などです。
なので、僕の周りは、ナッツ食べてるひと多いです(笑)
― 科学的に、アイデア発想の環境・身体づくりから行っているんですね。
4.常にその事を考える
次に、アイデアが出やすい状態で、常にその事を考える、というフェーズ。
よく言われてるのは、
- ドーパミンが出て脳が活性化している
- リラックスしている
- ぼんやりしている
状態です。
これは、SNS投稿予約ツール「Buffer」共同創設者の Leo Widrich 氏が言っている説です。
他にも、昔の人もよく言っていて、
『3上』… 馬上、枕上、厠上(※欧陽脩 中国、宋の時代の政治家、文章家)
『5B』… Bath, Bed, Bus, Bar, Bookstore
の時に、アイデアが出やすいと言われています。
千原ジュニアさんなど、お笑い芸人の方は、トイレっていう人が多いですね。
個室で誰にも邪魔されない。
僕の場合は、圧倒的にシャワーの時ですね。
真っ白い空間、他にやることもなく、ぽかぽかしてリラックスしている。
なのでシャワー浴びたいですね、仕事中(笑)
5.アイデアを具体化し形にする
これはもう、
プロトタイピングといって、思いついたら素早く形にしようという話。
スケッチは大切という話はしましたが、
2次元だとどうしてもわかりにくいところがあるので、
段ボール、発泡スチロール、グルーガン、場合によっては3Dプリンタなどで素早く3次元にしてモノをつくりますね。
アプリの場合は、紙芝居でもよいです。
まずはつくってみて、アイデアの良さを実感することが重要だと思います。
「このアイデアがすごい」モノ
- ありがとうございました。アイデア発想方法について非常に具体化していただいてわかりやすかったです。次に、岡本さんがお勧めする「このアイデアがすごい」モノってありますか?
ありきたりなんですが、これです。AirPods。
行動を変えている、そしてそれを想定している
絡まっているケーブルを解いて、機器に挿して、、、
従来のイヤホンだと、確実に流れが止まってるんですよ。
平均で十何秒、毎日、音楽聞くたびに、かかってます。
それを解決したのって、普通に考えてすごくないですか。
どう実現するかって考えると、
今度また流れが止まるところがあるんですよ、
「充電はどうする?」
「どうペアリングする?」
「どこにしまっておく?」
とか、それらの流れを全て淀みなく解決しているのは、本当にすごいと思います。
これによって、家事をしながら使うことが増えたんですよね。
アイロンや洗濯しているときに、絡まったりしないじゃないですか。
このケーブルからの解放で、圧倒的に”本”を聴くようになったんですよ。
家事の時間が読書の時間になるって、自分の生活を変えていて、
こういうモノをつくれたら、すごくいいなと思ってます。
アイデア発想法の実践
- 今回のアイデア発想による、例えば組合せのアイデアで、何か具体的な例はありますか?
何がいいかな。。。
(万年筆とスケッチブックを取り出す岡本さん)
例えば、 以前デザインしたAQUAWINGSのサインデザイン。
http://design.denso.com/works/works_040.html
このピクトグラムって、実は使っているフォントのアルファベットのパーツを組みあわせてつくられているんですよ。
例えば、喫煙所のピクトを作るなら煙草をどうやって作ろうか、描きながら考えます。
本体と火のついてるところと煙があれば認知できるなとしたときに、
これをアルファベットで表現するとしたら?
本体は i を持ってくれば火のついてる部分も再現できるなとか、煙は S を使ってみたらどうかな?とかやっぱり oO かな?とか。
こうやって描いていくとどんどんアイデアは広がっていきますよね。
さいごに
デンソーに、岡本さんのようなデザインのプロが在籍していることも、改めて実感できました。
今回はデザイナーの岡本さんならではの、アイデア発想方法をお聞きしました。
夢卵アイデア出しにも大いに参考にしていきたいですね。
この度は、インタビューにご協力いただき、誠にありがとうございました。