どこでもトランプ(夢卵2016出展作品)担当者が語るアイデア創出方法とモノづくりへの想い:前編
こんにちは。情宣G mizoです。
今回は過去に夢卵に出展していただいた 加勢田吉隆氏、夏目充啓氏へのインタビュー記事になります。
アイデア選考を通過するようなアイデアをどのように考えたのか、アイデアを作品に仕立てていく際の考え方など参考になること満載ですので、是非ご覧ください。
[聞]Yack, Mizo /[著]Mizo /[写]TAKE (2019/12/25インタビュー)
2016年に新設されたソフトアイデア部門に出展された[どこでもトランプ](*注1)。
ソフトウェアのアイデアがどのようにして生まれたか、アイデアをモノに仕立てていく際のエピソード、モノづくりに関する想いを作品の担当者である加勢田吉隆氏、夏目充啓氏が語りつくす。
(*注1)プロジェクションマッピングにてスクリーン上にトランプを表示して、そのトランプを遠隔からモーションでひっくり返すという新感覚ゲーム。
【デジタルとフィジカルが融合することで、ユーザエクスペリエンスを最大化】
今回は2016年に出展されたどこでもトランプの作成秘話をお聞かせください。 まずは、どこでもトランプについての説明をお願いしてもよろしいでしょうか。
(加勢田さん):私はこの作品のコンセプト部分のみを担当していたため、最終的な作品である[どこでもトランプ]ではなく、[どこでもカルタ]というアイデアシートを書いたときのコンセプトについて説明しますね。
[どこでもカルタ]というのは簡単にいうとプロジェクションマッピングを利用したカードゲームです。
タブレットとかスマホの画面上でやれるゲームがあると思いますが、画面上で遊ぶのではなく、プロジェクションマッピングを使って、表示されているカードを触ってそれに応じてカードを動かしたり、遊ぶ内容に応じて表示するものを切り替えれるようにできると面白いんじゃないかなと考えました。
プロジェクションマッピングに着目した理由はなんでしょうか?
(加勢田さん):トランプとか紙で遊ぶゲームって、お正月とかで親戚が集まった時とか、友人で集まった時にやるじゃないですか?一方で、今電子化が進んでタブレット端末でもカードゲームができるようになってきていますよね。
でも、タブレット端末でやるカードゲームの盛り上がりって、実際に紙でやるゲームに比べると低いような気がしていて、実際にカードゲームをやった時の方が盛り上がるなと思っていました。その違いを考えた時に、モノが実際にあってそこに動きがあるというのが楽しさにつながっているんじゃないかなと。
モノがありながら、デジタルの要素を取り入れることで、ユーザエクスペリエンスを最大化する遊びってできないかなと。じゃあいいとこ取りしてみたらどうだろうと。ものを触ったりするような感覚を残しながら、デジタルの良さでもあるコンテンツを切り替えれるようになったらもっと楽しくなるのでは考えました。
デジタルとフィジカルを融合するといところが今回のアイデアということですね。
(加勢田さん):片方だけではだめで、(デジタルとフィジカル)両方をいかにうまく掛け合わせていくのかが今後新しい価値を提供していくのが必要になるのではないかなと、かっこよくいうとそんな感じです(笑)
その両方を融合させたものをということで[どこでもカルタ]を提案させていただきました。
このアイデアにいきつくまでにいくつかアイデアがあったのではと思いますが、最終的にこのアイデアに行き着いた経緯など教えていただけますでしょうか?
(加勢田さん):当時の室のメンバーで集まってアイデア出しを行っていましたが、アイデア出しをしていた当時プロジェクションマッピングが技術として取り上げられてきていて、技術ベースで新しい技術とメンバーで話し合って出てきた課題を掛け合わせるということを、アイデアを考える際の起点としていましたね。
-解決したい課題と新しい技術を掛け合わせて新しい価値を生んだということですね。
【ユーザの絞り込みと、そのユーザが楽しめるようなモノづくり】
実際アイデアを考えてからそれを実行に移すにはハードルがあると思いますが、そのハードルを乗り越えるポイント、実現に向けて突き動かすモチベーションについてお聞かせください。 実際にアイデアを考えて面白そうだなと思っても、それを作るとなるとそこにハードルを感じて実行に移さないという人も多いのではないのかと思いますがどうでしょうか。
(加勢田さん):アイデアを考える際に自分たちがやっても面白くなさそうだなと思うものはアイデアとしてだしていないので、自分たちでやって面白そうだなと思うのを突き詰めていくと作る際のハードルはそんなに高くないのかなと思います(笑)
ただ夢卵への出展が決まったタイミングで出向が決まって、職場を離れることになってしまい夢卵の出展をどうするか悩んでいたのですが、そんな時に当時の上司である夏目さんが「わかった!やるよと」いってくださって今に至っています。
(夏目さん):あの時、出向したからといってやらんでもいいという判断をする必要はかけらもなかったですね。 やりゃいいじゃんと思いました。
(加勢田さん):その時に感じたのが皆で考えたアイデアを救ってくれる人はいるんだなと感じました。
社内にはいろいろな技術を持っている人や、情熱を持っている人がいるので、作るという段階で手を挙げてくれる人、助けてくれる人は社内にたくさんいると思います。(夏目さんへ)ありがとうございました(笑)
どこでもトランプというアイデア実際に作っていく過程で、最終的に[どこでもトランプ]という作品名になったと思いますがその経緯についてお聞かせください。
(夏目さん):カルタだとなかなかゲーム性が難しくて、話を少し戻すと、このアイデアを最初に聞いたときに面白いなと思いまして、画面を触ってカルタやトランプを触るというのはありますが、離れたところにあるトランプ、カードを自分の手でめくるように遊べるという発想が面白いなと。
なので今回作ったものも、離れたところから手の動きで、トランプをひっくり返せるようにしました。
あと、誰がこの作品を触ってくれるかなと考えたときに、お子さんが楽しんでくれるのかなと、短い時間でゲーム性があるとなると神経衰弱がいいかなと考え、この作品のターゲットを絞りながら[どこでもトランプ]という作品にしていきました。
アイデア段階のコンセプトで離れたところにあるカードを手の動きでめくれるというのが大事で、その段階ではカルタでもトランプでもなんでもよくて、コンセプトを残しつつ最終的にトランプに行き着いたんですね。
(夏目さん):カルタだと読まなければいけないし、読んでもみんなで取りあうというほど人が集まらなかったりすると寂しいかなと。その場に来た少ない人数で遊べるとなるとこのくらいがいいのかなと。どんな作品にすることもできたと思いますが、子供を呼ぼうというのが最初の目標だったので、子供たちが実際に遊んでいる姿を想像したときに神経衰弱がいいなと思いました。
子供専用の投票部門があったとすると結構上位に来たのではないかなと思います。現地ではかなり長い子供たちの列ができていました。(笑)
子供の点数を加点するとか審査の基準も、いろいろあると面白いかもしれないですね。
(夏目さん):そうですね。子供だけの投票券とか、子供向けの賞とかあるともっと面白くなるかもしれないです。