若手出展経験者にインタビュー:前編
こんにちは。夢卵・PR担当の Yack です。
いよいよ夢卵アイデア募集期間の締め切りが迫ってまいりました。
今回の企画では、特に若手の出展経験者にスポットを当て’18年大会で、見事 ソフトウェア賞 を受賞した、
センサセミコン開発部:川口さん
ADADAS技術2部:竹内さん をお呼びしました。
お二人が出展した “InstakePhotos” は、カメラの撮影写真から複数の画像を生成し、
Deep Leaning で最もイケてる写真を抽出する という非常に画期的な作品です。
インタビュー前編では “InstakePhotos” の開発にまつわるエピソードを始め、
特に同年代の若手の方も気になるであろう 良いアイデアの出し方 についてお聞きしました。
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◇アイデア発想のきっかけは ”カメラの使いづらさ” にあり
Q:まず初めにお二人が先回出展した “InstakePhotos” について教えてもらえませんか。
竹内さん:このカメラ (RICOH THETA) は1プッシュで周囲360°を撮影できるカメラです。
カメラ本来の嬉しさとしては、360°の全方位の写真が撮れるため、
・1度の撮影で複数方向の被写体を撮影ができる
・被写体の大きさを気にせず簡単に撮影できる
・カメラの傾きを気にせず簡単に撮影できる などがあります。
このようにグルグル回る画像を取るだけでも楽しいんですが、僕らの作ったアプリは、
撮った画像から AI を使って、オシャレな画像を自動で切り出してくれること、に特徴があります。
さらにソフトのアルゴリズムを変えることで、景色や人物などをお好みで抽出できる、そういう嬉しさもあります。
Q:作品名は Instagram が流行しているので、それも意識されたのでしょうか?
竹内さん:
そうですね。手軽に (Instant) + 写真を撮る (Take Photos) を造語して、”InstakePhotos” にしました。
川口さん:女性ウケが良かった記憶がありますね。
竹内さん:
若い女性や子供にウケが良かったですね。
おしゃれな写真を手軽に撮るというニーズが女性に、360°カメラ自体の魅力が子供にウケました。
逆にお年を召した方にはあまり興味を示してもらえませんでした。
Q:最初から女性や子供にターゲット層を絞り込んでいたのでしょうか?
川口さん:
狙ってた、というよりは僕らが欲しいものを作ろう、興味のある技術を形にしたいという共通意識はありました。
そうやってアイデアを出し合って、この ”InstakePhotos” が最終的に残った、という経緯です。
竹内さん:
アイデアを出す前に RICOH THETA の古いモデルを使っていました。
しかし、撮った写真の一覧表示が見にくく、1ファイルずつ開かないと画像確認がしづらい、
そういう使いづらさを感じていて、自分たちでそれを何とかできないか、そういう嬉しさがあるものを作りたいと思っていました。
◇他人のアイデアに乗っかることもアイデア出しに有効
Q:この “InstakePhotos” は、今見ても斬新なアイデアだと感心してしまいます。
どうやってこのようなアイデアに着想することができたのでしょうか?
もともとこんなアイデアを持っていたのか、それとも、夢卵の活動の中で着想したのでしょうか?
川口さん:後者だよね。
竹内さん:後者ですね。僕らはともに大学の専攻が情報系で、何かおもしろいことをやりたいよね、という想いは持っていました。
川口さん:
それが夢卵に参加した理由でもありますよね。
おもしろいことをやりたいという想いがある中で、ちょうど夢卵という良いきっかけがあったので、会社帰りとかに喫茶店に集まって、
こういうことやってみたいよね、とか、日ごろの生活で困っていること、そんな観点で意見を出し合ってアイデアを出しました。
他人と話す中で出したアイデアがブラッシュアップされて、“InstakePhotos” にたどり着きました。
◇興味のある技術に触れたい、という想いがソフトウェア賞という結果に
Q:この作品の内容を見ると結構難しそうなことをやっているように思えるのですが、実現するにあたってどんなところに難しさがありましたか?
竹内さん:
当時夢卵に向けて作品を作るうえで、自分たちがやったことのない技術に触れたり、スキルアップになることをしたいと考えていました。
僕らは大学で情報学科専攻ではあったのですが、アプリ開発の経験もなければ、Deep Learning を使ったこともなかったので、それを触ってみたいなという想いもありました。
なので結構、苦労しましたよね(川口さん)?
川口さん:
そうだね(笑)。要素技術という視点で見ていくと、
・カメラを使う API (アプリ連携)
・アプリ開発
・ソフトでの信号処理
というパートに分かれていて、それぞれ難しくて困りはしたんですけど、それぞれの使い方がWeb上で公開されているので、
検索サイトでそれらを調べながら進めました。
竹内さん:
例えば DeepLearnig を使ったモデル作成の話で言うと、
検索サイトで オシャレな画像 が出てくるキーワードを打ち込んで検索して、
オシャレな画像 と そうでない画像 の点数付けを行い学習させることで、オシャレな画像 を抽出できるようにしました。
Q:最終的に当初イメージした画像が抽出できるようになったのでしょうか?
竹内さん:
結構できたかなと思います。ただ、当日の夢卵の会場ってどの角度から見渡しても人が見えるんですよ(笑)
だから、どこの画像を切り出しても人は写るので、抽出された角度が一番オシャレなんです、
と言っても、納得してもらいにくかったのは想定外のポイントでした。
◇アイデアと行動するきっかけさえあれば応募できる人は多いと思う。でもアイデアの実現性も大事
Q:アイデアに着想することに、ハードルを感じている人って多いと思うんですけどいかがでしょうか?
川口さん:
うーん、難しい質問ですね。
僕はある程度現実味があるアイデアを出してはいたつもりなので、できるだろうという見込みをもってやっていました。
だからどちらかというと、そのハードルというものは アイデアを考えること よりも、実際に実行するところ の方が大きいかなと考えています。
だから、今回みたいに夢卵に応募して賞を取ると賞金ももらえるよ、というきっかけがあればできる人は多いんじゃないかなと思います。
竹内さん:
出す前に結構、躊躇するところは確かにあって、アイデアを出す前に下調べはしていたんですよ。
応募してもし通過した時に自分じゃ作れない・・・じゃあ恥ずかしいですからね(笑)。
これなら行けそうだねぐらいの見積もりみたいなのがないと、ちょっと応募しづらいかなとは思います。
応募要項にも書いてありますよね、実現可能性が・・・って。
Q:そうですね。審査員の方もそれが重要って言ってました。
ところで今回の夢卵には応募されますか?もし応募するつもりがあるのなら、そのモチベーションについて教えて下さい。
竹内さん:
今年も応募を考えています。色んな人が思っているかもしれないですけど、勉強したいなって思う事って結構あるじゃないですか。
ただ知っておきたいと思っても、手をつけれないってあると思うんですけど、夢卵に応募して通ったらやらなきゃいけなくなるので(笑)。
お尻を叩かれるような感じです。
あと先回、作品製作が楽しかったということもあります。
Q:先回は製作から完成までどれぐらい時間かかったのでしょうか?
竹内さん:5月6月くらいから動き始めて、11月が夢卵当日だったので半年くらいです。
川口さん:
かなり時間を使いました。夏休みとかも使って、家とかに集まって活動していた気がします。
夢卵直前も有休を取ってやってました。
竹内さん:
この “InstakePhotos” ってソフトウェアアイデアなのですが、ソフトウェアアイデアほど時間がかかるんだなって実際やってみて感じました。
自分でやらなきゃいけないことも多かったですしね。
川口さん:自分でやらなきゃいけない、って、それ以外の選択肢はあったんだろうか。
一同:爆笑。(^^
Q:賞金はモチベーションになりましたか?
竹内さん:
僕は頑張ったら賞金を取れるんじゃないかと思っていたので、多少のモチベーションにはなっていました。
川口さん:
そうなんだ(笑)。僕は賞金があるから参加しようとかではなく、普段仕事ではできないことができるというきっかけになりますし、
それに対して製作費を出してもらえるので、新しいことに取り組めるというのがモチベーションでした。
竹内さん:
アイデア用紙を応募したときに、これはいけるんじゃないかと思っていました。
これ面白いな~と自画自賛していたので。
川口さん:自分で面白いと思える物を作るのが良かったのかもしれないですね。
竹内さん:
書類審査通過した人向けに説明会があって、その中で50件くらい出展作品あったと思いますけど、
ソフトウェア賞に該当しそうな作品は全体で2~3件くらいしかなくて、そもそも数が少なかったので頑張ればいけるんじゃないと思いました。
Q:ソフトウェア賞は穴場ということでしょうか?
竹内さん:そうですね。賞金を狙うという意味ではソフトウェア部門は穴場だと思います(笑)
・・・後編に続く・・・